アグリゲートモデル

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アグリゲートモデルはショベル、動土、テレイン間の動力学計算に使う。 粒子モデルの粒子を2つのグループに分け、グループ内の粒子を一体(団粒)とみなした剛体とする。 agxTerrainではこの剛体をアグリゲート、アグリゲートボディ(aggregate、aggregate body)とよぶ。 アグリゲートの質量特性は団粒の質量特性を引き継がせ、粒子-ショベル、粒子-テレイン間の接触点は接触応答計算ができる数まで削減している。 2つのアグリゲートをLockJointで接続し、LockJointのコンプライアンスと力出力の制限により、土の柔軟性と降伏を表現する。

アグリゲートモデルを使う理由を次に示す。

数値的安定性の確保

複数の粒子が強い力でショベルとテレインの間に挟まれると、粒子は行き場を失う。 行き場を失うと大きなタイムステップでは計算できない高周期の振動が発生し、発散してしまう。 発散を抑えるために、2つのアグリゲートをLockJointで接続した単純なモデルに置き換える。

抗力計算の精度の向上

粒子の運動の計算には反復法ソルバを使う。 反復法ソルバは反復数を調整することで、計算量と精度の調整ができる。 リアルタイム性を確保するためには、精度を犠牲にして計算量を減らす必要がある。 その結果、抵抗力が想定よりも柔らかく出力されてしまう(参考)。 アグリゲートモデルを導入し、ショベル-アグリゲート-テレイン間の抗力計算に splitソルバ が使うことで、 反復法よりも高い精度の抗力を計算している。

ショベルに加わる力 SeparationContactForce

従来手法のFEE(Fundamental Earthmoving Equation) [Reece1964] の適用範囲は準静的下という制限がある。 agxTerrainはショベル、アグリゲート、テレイン間の接触拘束をAGXのソルバで解くことで、 ショベルに加わる力(SeparationContactForce)を求める。 SeparationContactForceは動土とテレイン間の接線力が含まれており、 土の粘着力 \(c_\mathrm{a}\) と 内部摩擦角度 \(\phi_\mathrm{0}\) が影響する。

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